安心できるデジタルカメラ機材にするためのメンテナンスと修理依頼の方法
皆さま、こんにちは。ナニワ商会 見崎でございます。
さて、フルサイズミラーレスカメラニコンZ6・Z7が登場して、もうすぐ5年を迎えます。
毎月、カメラ雑誌を確認するも、ニコンの新製品にFマウント関連は見かけなくなりました。
2022年7月には 日本経済新聞で【ニコン、一眼レフカメラ開発からの撤退 60年超の歴史に幕】という見出しの記事が掲載されるなど、「Fマウント」を主力機材にしている写真館・フォロトグラファーにとって、自身の愛機は、修理・メンテナンスの可否について、最も気になる事だと思います。
それでは、2023年2月時点でのニコンのデジタル一眼レフを例に、修理受付状況とご自身でできるお手入れについてご紹介していきましょう。
修理受付完了をした主な機種 (2023年2月28日時点調べ)
■FXフォーマット(フルサイズ)
■D600 ■D700 ■D800 ■D800E ■D4 ■D4s
■DXフォーマット(APS-Cサイズ)
■D90 ■D5100 ■D300s ■D7000
部品交換を伴わない調整を含めて、全て完了しています。
また、定期的なお手入れ(ピント調整・露出精度調整・センサー保護ガラス表面の清掃など16項目のメンテナンス)がパックになった「定期メンテナンス」の受付も終了しています。
修理内容によっては修理ができない機種(2023年2月28日時点調べ)
■FXフォーマット(フルサイズ)
■D5(CFカード仕様) ■D5(XQDカード仕様) ■D810 ■D810A
■DXフォーマット(APS-Cサイズ)
■D5300
性能を維持するための部品の一部に払底が生じているため、修理内容によっては対応できない場合があります。
オーバーホールを検討されている方は、ニコンサービスセンター窓口(東京・大阪)で相談の扱いとなります。
通常通り、修理受付ができる主な機種(2023年2月28日時点調べ)
■FXフォーマット(フルサイズ)
■D610 ■D750 ■Df ■その他の現行機種
■DXフォーマット(APS-Cサイズ)
■D3300 ■D3400 ■D3500 ■D5500 ■D5600 ■D7100 ■D7200 ■その他の現行機種
生産完了になって、およそ6年を迎える■D7100は来年2024年で、趣味性の高い■Dfは、2027年ころで修理受付を終了します。 その他のデジタル一眼レフについても、生産完了から7年前後で修理の受付終了を迎えます。
但し、■D5 ■D810 ■D5300などの生産完了から5年を経過していないような機種でも、一部の保守部品の払底が始まっています。
全ての機種において、必ずしも生産完了後、7年間は全ての保守部品を有していると考えないほうが良さそうです。
生産完了品のデジタル一眼レフを愛用されている方は、お早めに、定期メンテナンス・オーバーホールをおすすめします。
故障のリスクを軽減し、末永く使うための方法
カメラ購入後、定期的なメンテナンスを受けることなく酷使されたカメラボディは、故障の予兆を掴むことなく突然、動かなくなるケースが多くあります。
いざ、撮影時の故障で困らないように、「予防点検」「メンテナンス」について、ニコン製デジタル一眼レフの修理を扱っているサービス窓口(プラザ窓口)を例に説明していきます。
■3ケ月~6ケ月単位で推奨したいメンテナンス
【プラザ点検パック】など
自動車で例えると、故障やトラブルが発生する前に自主的にディーラー・カー用品店などで予防的に点検依頼する【定期点検】に相当します。
主な点検・清掃内容として
「センサー保護ガラス表面の清掃」「ミラーボックス清掃」「スクリーンマットの表面清掃」「通信接点部清掃」
「ボディ外観清掃」「ソフトウェアファームアップ」「簡易動作点検」「表示部点検」などがあげられます。
カメラメーカーのサービス窓口及びメーカー技術認定カメラ修理店などで、名称は異なりますが、一まとめになった点検パックがあります。
フィルムカメラと異なり、電子部品を多用されているデジタルカメラには、ホコリ・チリは大敵です。ホコリ・チリの蓄積は、誤作動・精度の狂いの原因になります。
使用頻度の多い職業カメラマンには、使用環境に応じて定期的に受ける必須のメンテナンスです。
■1年単位で推奨したいメンテナンス
【定期メンテナンス】【定期診断】など
自動車で例えると、法律で定めている基準に適合しているか点検する【継続検査(車検)】に相当します。
上記の■3ケ月~6ケ月単位で推奨したいメンテナンスの内容に加えて推奨するメンテナンスは下記の通りです。
「オートフォーカス精度点検」「シャッターユニット状態点検」「露出精度点検」
「フランジバック精度点検」「電源ON時/OFF時の電流測定」「スピードライド調光点検」「各端子通信点検」などボディ本体を分解しない状態で、メーカーの修理工場または技術認定店で高精度計測機器を用いて、状態を調べていきます。
高精度計測機器を用いることで、カメラマンが気づいていない「精度の狂い」「不具合箇所」の追求をします。
特に、レンズ交換時に誤ってボディーを地面にぶつけた、カメラバックに入れていたが網棚からバックごと転落させたなど、通常の目視では判別のつかない「ボディーマウントの歪み」は、【定期メンテナンス】で発見できます。
なお、カメラメーカーで定めている基準に不適合の場合は、そのまま修理依頼(見積)へ変更することができます。
■3年単位で推奨したメンテナンス
【オーバーホール】【リフレッシュ整備】
ボディ本体を分解することで、見つけられる摩耗・狂い・腐食を診断します。そのまま使用していくと、カメラメーカーで定めている基準を下回る恐れのある部品は調整及び交換していきます。
カメラメーカーのサービスセンターで勤務していた当時、1000円でも費用を抑えたい心境から『オーバーホール=シャッター幕交換、それだけで大丈夫!』と答えるお客様が多くいました。シャッター幕の交換は、オーバーホールのひとつの項目に過ぎません。
90年代に発売されたAFフィルム一眼レフカメラと異なり、フィルムの自動巻上げ・自動巻き戻しが無い為、モーター・バネ・歯車の交換調整を必要とする箇所は少なくなっているので、『(デジタルカメラの)オーバーホール=シャッター幕交換だけで大丈夫!』 という思いが表れるのでしょう。
デジタル一眼レフカメラには、シャッター幕の開閉(シャッターユニット)はもちろん、シャッターと連動して駆動するミラー(ミラーボックス)あるいは、「MEMU」「MODE」「電子ダイヤル」など何万回も使用されるボタン類もあります。
万が一、『シャッター幕の交換だけで良い』と伝えてしまうと、何十万回もパタパタ上下するミラーボックスの部品交換がされない場合もあります。せっかくのオーバーホールで依頼するつもりが、『シャッター幕交換(限定修理)』にしてしまうと、他の機能に関して、修理保証がつかない場合があります。
但し、ご自身で長年使用していて、『グリップのゴムがべた付いてきたから、交換を頼もう』と外観上、気になる点は、オーバーホール依頼時に気になる点として、併せて申し付けましょう。
1日の撮影を終えて、できるお手入れ
撮影をおえて、棚や保管庫にカメラ機材を収納する前に、ご自身でできるお手入れはしましょう。
外観部・ミラーボックス部に付着した埃・ゴミをブロアーで吹き飛ばし、ブラシでボタン・ダイヤルまわりの溝の清掃、最後にクリーニングクロスで優しく拭きあげてください。乾拭きで落ちない汚れ(油脂・指紋)のお手入れには、アルコール成分が入ったクリーナーで拭くと効果があります。
フォトルプロ・フォトロジでは、すぐに使えるクリーニング用品をお得な価格で販売しています。
ご注文後、お早めにお届けできる商品について、ご紹介します。
■ケンコー・トキナー 『クリーニングキット プロ5』
JANコード:4961607701133
[セット内容]
- ブロワー
- ペン型レンズクリーナー(カーボンタイプ)
- ブラシ
- 激落ちくん カメラレンズクリーナー(3枚)
- クリーニングクロス
- レンズクリーニング虎の巻
カメラやレンズ、レンズフィルターなどを清掃するために必要な道具をそろえたクリーニングキットです。このセットを用意すればカメラ機材の清掃はお手のもの。他に買い足さなくてもよいプロ仕様です。
■ケンコー・トキナー 『NEWクリリーナ カメラクリーニングキット 7点セット』
JANコード:4961607701720
【キット内容】
- ブロアー
- クリーニングクロス
- レンズクリーナー液
- クリーニングペーパー
- 綿棒
- シリカゲル(乾燥剤)
- 手袋
デジタルカメラのほか、フィルムカメラ、ビデオカメラ、レンズ、フィルター、PC等のオフィス機器、携帯電話、オーディオ製品のお手入れにお使いいただけます。
■ケンコー・トキナー 『激落ちカメラレンズクリーナー 30包入り』
JANコード:4961607872024
アルコール成分が揮発しないようアルミ個装袋タイプで製品化されています。
速乾性のウェットシートなので、拭きスジ、拭き跡が残りにくく、三菱ナノワイパー®を使用しているので、より細かく汚れを拭き取ります。
最後に
家電量販店では、それぞれ独自の「長期延長保証」を提供しています。
たとえば、購入金額のポイントの5パーセントで自然故障に対する無償修理が5年間受けられる保証です。
テレビや乾燥機など、据え付け後そのまま使用する家電製品では故障時に安心な保証ですが、定期メンテナンスを必要とするデジタルカメラや動画撮影機材などの光学製品は、「長期延長保証」に加入したことで、精度の狂い・不具合を予防することはできない点は気を付けておきましょう。
なお、ナニワ商会(カメラのナニワ)は、カメラ・写真商材を専門に取り扱って、75年以上の歴史があります。
家電量販店では対応の難しいデジタルカメラや動画撮影機材などの光学製品のメンテナンス相談から買い替え・買い増しについては、弊社 法人営業部担当者までご用命をよろしくお願いいたします。