ドローン歴17年の早川氏に「ドローン導入前に知っておきたいこと」を教えていただきました
ニュースなどでよく耳にするドローンですが、そのドローンにしか撮影できない作品に魅力を感じ、導入を検討されている方も多いかと思います。
気にはなっているものの、実際の操作方法とその難易度、どのようにトレーニングしていくのか等の情報に巡り合わなかったために、導入を踏み切れないままになっていませんか?
今回、ドローンなどの無人航空機の撮影歴17年以上のベテラン早川氏に、導入前に知っておきたい様々なことを濃く、丁寧に解説いただきました。
ぜひ記事を最後までご覧いただき、魅力たっぷりのドローンを手にとっていただけたらと思います!
解説者 プロフィール
早川写真館(岐阜県) 早川 正文 氏
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)インストラクター
労働大臣認定 1級写真技能士 経済産業省認定 1級婚礼写真士 岐阜県職業能力開発協会理事
職業訓練指導員(写真科) 写真講座講師 企業向け写真指導経験多数。
2016年映画「鳥の道を越えて」今井友樹監督に空撮担当。
作品は科学技術映像祭 内閣総理大臣賞、文化庁映画賞、文化記録映画優秀賞。ラジコンバギーを10歳からはじめ大会で優勝多数、ラジコン飛行機、ヘリコプター3Dフライトを主体に無人航空機のフライトは17年以上。
ラジコン航空機、シングルローターヘリにて、空撮現場を16年以上経験。総飛行時間は6000時間超。
■経営理念
「後世に残る宝を作ります」映像の楽しさと 尊さを伝え続けます」
実際にドローンを飛ばしてみた!
さて、ドローンで撮影!空からの風景は普段と違ったアングルで新鮮ですね!
今回は例題にDJI製「MAVIC PRO」を飛ばしてみました。
スペック:3軸のスタビライザーでカメラを安定化。静止画は1,200万画素、4K動画撮影。最大フライト時間27分、スポーツモードでは最大65km
なんと、自動飛行もあります!
「DJI GS PRO」というソフトも無料でダウンロード、使用できます。
リンク:https://itunes.apple.com/jp/app/dji-gs-pro/id1183717144?mt=8
飛行範囲を決めたり、決めた飛行経路を飛行させたりできます。
広い安全な場所で、何度か同じような撮影であれば、こちらでも飛行できます。
しかし、風に流されたとしても操縦して戻ってこれるということが大切です。ドローンは安定して自立して飛行できるために、トラブルが起こった場合、現在の位置で墜落するのか、何キロも先で墜落するのか、というリスクがあります。
が、やはり運用するものが責任を持ちましょう。
操縦モードは、モード1かモード2か?
これを間違うと大変!!確認してから離陸しましょう。
下記の画像はモード1選択時のものです。
各モード選択時の操作方法
ドローン飛行時のGPS機能について
空中で何も操作しないでホバリングに入ると、その位置にとどまりますので、GPSを受信している状態では落ち着いて操作できます。
GPSが搭載されていないモデルや、機能を停止した場合は流されていってしまいます。GPSセンサー現在は機体に内蔵されています、大型機では、機体上部に配置し正確に機体の位置を把握します。
地上センサー (ドローンの下面にあります)
高度な機体では地面の模様を認識して、その位置にとどまろうとします。(画像はDJIファントム4のもの)
撮影現場では最低限、マニュアル通りの機能を発揮させることが重要です。そもそも、普通に離陸して、操縦して、撮影して、帰ってこれるのか?これがなかなか大変。
動かない、モニタうつらない 時々切れる (何台かで飛ばしているときによく起こる)、バッテリーがない、ソフトウェアのアップデート警告が出てしまった。
など、落ち着いて練習できるときとは違い、現場では、様々なトラブルが起こってきます
事前の準備が大切です。
機体のセットアップ方法について
まず、ソフトウェアのアップデートをチェックします出来れば撮影の1週間前に各部の点検、電源が入るかの点検をする(バッテリー、パーツの破損が発見されてた場合はメーカーに依頼する)フライトの前日に一度フライト準備を行い、点検をする(ソフトウェアのアップデート)
バッテリーの管理事前に充電を済ませておきましょう。
(満充電で保管すると劣化してしまうので、60%ほど入った状態で保管します)
冬場は温度が低いですので、必ず20度以上で、モニターのバッテリー状態を見ながら飛ばすようにします。
DJI製の機体の場合、15℃以下ですとエラーが出て離陸ができません。真冬だと湯たんぽや、車のダッシュボードなどで温めるのも良いです。気温がかなり低くても、電源を入れたまま待機していますと、5分から10分でバッテリーは自動的に温まります。
15℃以上になって離陸できましたら、ゆっくり上昇し、低い高度(2m程)でホバリングで待機していますと、数分でバッテリーは温まります。
ホバリング点検中に機体を少し上昇させてみて、上昇中にバッテリー警告が出る場合は、墜落の危険がありますので、注意して下さい。
操作トレーニングの方法はどうすればいいの?
手軽に運用できるようになったドローン。でも、操縦はどうやってトレーニングしていったらよいのでしょうか?
現在はGPSにより安全に飛行することができますが、しかし、GPS無しで飛行し、風に流されたとしても離陸地点まで戻せる技能が必要です。
GPS無し(無しの機体、ATTIモード)で飛行し、トレーニングをすることをオススメします。
飛行場所についてですが 許可を得ていない場合、練習場所が許可不要な地域に限られるので注意が必要です。
飛行の基本パターン(離陸着陸)についてですが、自動離陸、着陸もできますので、なれないうちはそちらを利用してもよいかと思います。
ホバリングの具体的な練習目標はドローン操縦車の目線の高さで、一定時間の間、ホバリングにより指定された範囲内(半径1mの範囲内)に留まる、
前進、行進 真っ直ぐ飛ばすこと、これが一番大切。返ってくるときは、初めはゆっくりとバックからはじめ、こちらを向いて返ってくるときには舵が逆になるので注意が必要です。
↑ 操縦者はこちらに立っています ↑
[四角移動]
↑ 操縦者はこちらに立っています ↑
一定の高さを維持する必要がありますから、上下からの風の影響を受けます。
出力を微調整して高度を保ちますドローンは下からの風に弱いので注意が必要です。
一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動することができること。この飛行を機体がどちらを向いても、安定して行うことができること。
進行方向、バック、回転など、地道に積み重ねていくうちに上達します。撮影で主に必要になるのはこちらを向いた時になりますが、慣れるまで繰り返し練習することで、現場での不意の事態に対処できます。
気象についての注意事項
雷模様の時には飛ばさないほうが無難です。やはり大きなエネルギーを持っているようで、遠くで鳴っている場合であっても、電波状態が悪く、ドローンに限らず無線操縦する物に悪影響、墜落の危険がありますので、飛行地点が晴天であっても、飛ばさないようにして下さい。
ドローンは降下するときにはゆっくりしか降りてこれません。上昇気流に巻き込まれるような状況では(山岳で飛ばしているときに起こりやすい)、ドローンが降下することが難しくなりますので、注意して下さい。
以上のような基本を、撮影現場の中で的確に行うことが重要です。
機械ですので、100%の安全はありませんが、普段の点検、事前の点検、現場での点検を何度も何度も繰り返し行なって、何よりも安全第一での運用をお願いします。
臆病であることが、事故を防ぐ最善の心構えです。臆病者と言われる勇気を持ちましょう。
今回、簡単ですが、ドローンの扱い方、練習の仕方、運用の仕方など触れましたが、スクールではもっと詳しく色々教えて頂けます。質問して疑問も解決できます。
”孫の運動会の撮影にドローンを使って撮ろう”
なんて事は実は大変危険なことなのです。
確実な技術を身につけるためにはスクール参加がベスト
座学の模様。歴史、気象、機体構造などの講義
実技指導の様子
【JUIDA認定スクール】
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が主催している「操縦者」「安全運航管理者」を育成するためのスクールです。
東北・関東・中部・関西・四国で展開しており、実技型のスクールでは日本最大規模かと思います。
ちなみに、早川さんはこちらで活動しております。
「一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会 DPCA (ディピカ) 」
https://www.dpca-japan.org/
ドローンは中身、内容が濃いので長々とレポートさせて頂きました。有難うございます。
フライトを経験していくと、様々な場面での技術が必要なことが分かります。
また、事前の準備、実技指導もしっかり受けて新鮮なアングルを撮影しましょう!!
ドローン導入や購入などのご相談は、当フォトルプロでもご対応いたしますので、まずは下記よりお問合せください。
また、「参考になった!」という方は、ぜひシェアしていただけますと幸いです。
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