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D800系ユーザー、とうとう救われる。 迷子を導くZ8

数年ぶりにNikon機のレビュー機会をいただくことが出来ました。
そう、Z8。
もうすでにお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お借りできた6月から、随分記事を寝かせてしまいました。
 
筆者はOMNIVAS(オムニバス)という照明機材の販売会社を運営しており、
カメラマンとしても様々な現場にお邪魔させていただいています。
そして今夏より、縁あって地元の写真スタジオさんの運営にも携わることとなりました。
私自身のルーツが写真館なので、原点回帰のような気持ちで取り組んでいます。
 
そんな私のカメラ遍歴としては、Nikon D70、D200、D800、D800E、D810とニコン続きのニコン野郎。
キャリアのほとんどをNikonと過ごし、全てにおいて自分に合っていたシステムも、「シャッター音が出せない現場」や「ついでに動画も撮っておいて現場」が増えてくると、レフ機では限界が訪れます。
 
当時、ニコンがリリースしていたのはZ6かZ7。
シングルスロットの恐怖に打ち勝つことが出来ず、心が浮つき始めました。SONY、Panasonic、Canon...
 
心の中の見栄晴がマウスを操作、そして、ぽちっと。
 
やってきたのは何故かFujifilm GFX100とX-T4。
とにかくドヤれる!という一点で、移行を決めました。
「これで10年戦うぜ!」と息巻いていた半年後にはGFX100Sが出現、2年後にはGFX100が廃盤となることは知らずに。
ドヤれるって高いんだなあ。勉強は続きます。
 
もちろん、カメラは大変活躍してくれています!
どっしり構えられる場合はGFX、軽快さが必要な場合はX-T4を利用していますが、画作りというんでしょうか。特にX-T4はパチっと撮る一枚の空気感に「湿り気」がある感じです(褒め)
GFXはやはり解像感。人物の広報写真などで利用媒体やデザインが固まっていない場合でも、全身1枚撮っておけばトリミングでなんとかなってしまうというパワー系。
 
ただ、操作性というか、フィーリングにずっと慣れない状況でした。
特にX-T4は軽快さの割に、D810よりも当たりのカットが少ないような手応えの無さが気になっていました。
色々な設定を試していますがグッと来るものに出会っていません。
周りのカメラマン達(レフ機、ミラーレス機を使っている人々)に聞くと、「ミラーレスあるある」じゃないかという仮説にたどり着き、しょうがないのかと諦め半分でした。
 
そんな中、「8」が戻ってきたわけです。



元Nikonユーザーに往復ビンタ

フォルム、重量感、ともに「800系」を彷彿とさせます。
テストレンズは標準ズームのZ24-70/2.8 S。
レンズと本体の重量バランス的にも、レフ機のそれに近いフィーリングです。
 
物理的な操作系統は、レフ機を踏襲しているように感じました。
D850を使っていた人は、すんなり受け入れられると思います。
タッチ操作が豊富になり、レスポンスも良いので便利が過ぎますね。
 
もちろん、メディアスロットは2本立て。CF express TypeBとSDです。
最初、「SDカードいる?」って思っていたんですよ。
借りてびっくりしました。私CFeのカードリーダー持ってない・・
カメラをUSB-Cで直結したら読める!などの話もありましたが、専用ソフトが必要とのこと。それは不便だ(ソフト類は後述)
 
どんな時も寄り添ってくれるSDカード。
フルスペックでのドライブは出来ませんが、緊急時のことを考えるとこの組み合わせは現場思いだなと。D800系も、CFとSDでしたしね。
 
SDだと動画記録で制限があるんでしょうか?
連写も限界がありますが、ある程度までなら内部バッファで貯めておけます。
高価格なものの、メディアとしての性能や安心感(SDより物理的に丈夫)はCFeなので、上手く組み合わせることで、レフ機からの移行がスムーズに出来そうです。
 
スポーツの現場、動画の現場には明るくないので割愛しますが、Z9(一度触ったことがある)を彷彿するナイスなAF。快適です。
 
肝心の「歩留まり」ですが、かなり改善した感触があります。
EVF性能(フレームレート・復帰速度)、AFの動きなど、ハード面のパワーアップが良い効果を与えてくれている、、気がします。
 
解像感はもちろん、画質もD800系からの乗り換えなら、不満は出ないと思いました。
そしていざとなれば、旧型のバッテリーも使えるんですね。最高です。
ユーザーへの思いやりと、本気で移行してほしいという意気込みを感じます。
(もちろん、最新型のバッテリーを使うのがベストです)



注目していたネットワーク機能

スマホが当たり前になってから「撮った写真を別の端末で”すぐに”見たい」という要望をよくいただきます。
実際に必要性も感じているところでした。ところが、Fujifilm機が苦手としている分野なんです。
 
撮れ高を信じてほしい僕 「現像もしたいし、いい感じに撮れてるから大丈夫よ!」
撮れ高を信じられない僕 「『ま、何に使うかわかんないんですけど、良い感じに撮っておいてください』って・・後が怖いんで確認してくれませんかね?」
 
現場により両極端な思いが交錯しますが、見られないより見られるほうが良い。
 
Nikon機でネットワーク機能を使う場合、トランスミッターを必要とする機種がほとんどでしたが、Z9とZ8は本体にフルスペックで内蔵されているようです。他社に追随するナイスな構成だと思います。
 
私がやりたいのは次の2つ。
1. ロケでタブレットに画像をリアルテイムで転送。随時、あるいは、休憩中にクライアントに確認してもらう
2. スタジオ撮影で、別室のモニターに撮影画像をリアルタイムで表示。安心感と満足度を高める
 
このどちらもプレビュー用なので、軽いJPEG画像を見られれば十分。でも、RAWも必要。
イメージとしてはRAW+JPEGをスロット1とスロット2に割り振って、スロット2のJPEGだけを端末に飛ばすという運用です。
 
今回は、カメラ本体の機能+ソフトウェアで実現すべく試しました。
 
試したもの
(1)Nikon純正ソフト(MacBook Pro 2021)
(2)Nikon純正アプリ(iPad mini 6)
(3)Capture One 23 有線&無線(MacBook Pro 2021)
(4)Capture One for iPad 有線&無線(iPad mini 6)
以下、Capture One=C1と表記します
 
【使用感と転送速度】
純正ソフトはNXスタジオ、NXテザーなど複数のアプリケーションがあり、横断的に設定しないといけない組合せも。不便&転送速度が遅すぎて実用的では有りませんでした。
C1は、「つなぐだけor同じWiFi環境に接続するだけ」の簡単設定。転送速度は爆速、Mac+有線の場合はフルサイズのRAWでも1秒台でプレビュー表示します。
iPadもどえらいスピード。ほぼMacと変わらないと思っていただいて良いかも知れません。
 
無線接続時も全然許容範囲。Lightroom Classic+有線と同じぐらいか、少し速いくらいです。
シャッターから3,4秒まつような時間感です。
RAWとJPEGが両方転送されるので仕方ないんですが、JPEGだけだったら無線でも爆速いけるのになーと設定をこねくり回します。
 
C1とNikon機の場合、「JPEGだけ転送」が出来ないんですね。試してわかりました。
純正ソフトは出来るっぽいですが、前述の通りJPEGも遅いし設定も煩雑(いくつかのアプリケーションをインストール、認証作業のような動きが必要)なのでどうも大変。
Canon機の場合は、RAW+JPEGでJPEGのみを転送することも出来るようなので、Nikon機で実現したら最高だなと思っています。このあたりはカメラメーカーではなくソフトウェアの開発状況によるかも知れませんね。
 
 
【JPEGだけ飛ばすために】
FTP転送を試しました。Z8本体でRAW+JPEG記録時にJPEGのみを転送する設定があり、それが有効活用できました。
1. Z8を社内ネットワーク(wifi)に接続
2. 社内のNASにFTPサーバーを立ち上げ
3. Z8をFTPサーバーに接続、転送設定
4. 共有フォルダに画像を転送
5. C1で監視フォルダに設定して順に読み込み+プレビューする
 
これがもうやりたいこと「1番」のベストソリューションでした。
転送速度は違法カスタムしたミニ四駆ぐらい。めちゃ速いです。
 
写真スタジオで、とにかく速攻で写真をプレビューさせたいときは、この方法が良さそうです。
しかり、ロケの時は出来ない技です。
iPadにRAWを転送するとiPad本体の容量も圧迫、速度重視で有線にすると取り回しが面倒。
でも内部メディアにはRAWを記録しておきたいから、JPEGだけ爆速で飛ばしたい・・
 
Nikon機とC1の連携が強化される日を待ちたいなと思いました。
 
【気になったこと】
FTPで転送すると、3枚に1枚くらいの割合で、画像が乱れました。
カメラ→サーバーへの転送が完全に終わる前に、C1が読み込んでいるようでした。
サーバー上の画像が完全体になってからC1上でプレビューを作り直すと、参照先の情報で更新されてプレビュー画像自体は改善します。
SDカードを記録媒体にしているからなのかな?と思ったり。
あるいはネットワークの問題なのか、転送設定の問題なのか。
時間がとれず、この症状の深掘りは出来ませんでした。うーん、なんとかしたい!



隙が無くなったカメラ

つらつらと書いてきましたが、随分偏った内容になってしまいました。
参考になる部分があれば嬉しいです。
 
Z9同様、スチル性能に関してはそれまでのZシリーズと異なり「隙がなくなった」と言えそうなカメラです。
あまり詳しくないので言及できないのですが、レンズの描写もピカイチだとか。
 
個人的には、手軽にボケ感だせる35mmの魅力を思い出しました。
広いとは言えないスタジオでAPS-Cを使っているのですが、
短時間でバリエーションを撮る現場には明るい単焦点を持ち込みづらく
f2.8通しのズームだとボケの表現に詰まってしまいます。
 
やはり私はNikonへ帰る運命なのか・・・
 
お手元のD800系が現役を終えた皆さん、Z8がフォトルプロで手招きしていますよ。


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寄稿: 合同会社OMNIVAS 西平千尋

寄稿: 合同会社OMNIVAS 西平千尋

[ウェブサイト] http://omnivas.jp/

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