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徹底したプロ視点で「Nikon D7500」を本音レビュー OMNIVAS 西平氏

いつもユーザー目線でレビューを寄稿いただいている、沖縄で出張撮影・機材販売を行ってらっしゃる「OMNIVAS」の西平氏。今回は一眼中級機の、「Nikon D7500」を試用いただきました。

よく比較されるD7200と、外観やスペックの細かな違いについての考察や、スタジオライティングでのポートレート実写など、さすがのプロ視点から本音で執筆いただきました。



「OMNIVAS」西平氏によるD7500レビュー

昨年、極刑を覚悟でD500とD5のレビューを書き散らした私に「Nikon D7500」のレビュー依頼がやってきました。ナニワさんも物好きですね。干されなくてよかったです本当に。

やれラインナップ整理の渦中に巻き込まれたとか、D7200から大幅な割り切りがあったとか、なんやかんや言われているD7500。実際の所どうなの?と思っていたのですが7000番代の予備知識が無い事に気が付きました。急遽、先輩からD7200をお借りして簡単な比較を含めた感想を書き散らしたいと思います。

 

ちなみに私の撮影案件は、スタジオとロケが7:3、ロケはスナップが6割程度。メインカメラはNikon D810、携帯用にFujifilmのX-T1を使っています。今回お借りできた機材は下記のアイテム。

 

試用機器

  • Nikon D7500
  • AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR
  • AF-S DX NIKKOR 18- 300mm f/3.5-6.3G ED VR
  • AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED

 

外観・ハンドリング

旧機種比でやや小ぶりに見えるのは、グリップが深くなった事と関係がありそうです。

レンジファインダーや昨今のミラーレスカメラが「軽いのに長時間持つと疲れる」のは、ホールド感が良く ないからだと思うのですが、最近のNikon機ではおなじみの深型グリップは指先に引っかかるほど深く、ホールド感の良さはピカイチです。撮影後の疲労感も違います。

 

一方、ロゴ、ストラップホール、主要素材など、質感に影響する部分がぱっと見で分かる程にコストダウンされていることは見過ごせませんでした。D7200に親しんできた人が「持つ喜び」と呼ばれる満足感を得る事は、少なくとも「質感」については難しいと言わざるを得ません。

 

ボタン配置

従来機同様、左肩に撮影モードやレリーズモードの設定ダイヤルが集中しています。D5やD500同様、ISO設定ボタンがシャッター付近に移動され、感度をグリグリ動かしながら露出補正を行う撮影スタイルがより自由になりました。

操作性で気になった事が一つ。サブコマンドダイヤル(カメラ持った時に人差し指付近にある表のダイヤル)の出っ張りが少なく、操作がスムーズに出来ないことがありました。

D7200比でも出っ張りが少なく見えました。その後気がついたのですが、グリップが深くなったことで人差し指の位置がややボディ内側に来ることもダイヤル操作がし辛い理由の一つかもしれません。
全ての人に適合する配置は難しいとは思いますが、グリップが変わった事による弊害なのだとしたら、予め回避できたことだと思いました。

D500世代から装備されたAFポイント選択用のジョイスティックは装備無し。あれは快適なので欲しい装備の一つだっただけに、残念です。

 

連写・シャッターフィール

シャッターを切った瞬間、かなりソフトな音と手応えで十分に振動が抑えられていることを実感します。シャッター音に官能性を求めるなら、残念ながら最近のNikon機に出番は無いと思います。私は静かなシャッター、大歓迎です。

さて、連写性能はD7200から2コマアップの最高秒間8コマとの事。子どものスナップなどでは連射性能が良い瞬間を持ってきてくれることもあるので、大歓迎の基本性能向上です。

 

オートフォーカス

なんと、D7200とAFモジュールが同じだそうで。

コストや安定性等の面で枯れている機構を使うメリットも大きいと思うので仕方がない所でしょうか。最新では無いものの、大きな不満を感じることはありません。

今回のテストでは動体を追うことが叶わなかったのですが、D500のAF性能や他社ミラーレスカメラのAF範囲を知っていると、物足りなさを感じてしまいます。

 

液晶

この点は大幅なアップデートが見られました。

タッチ操作対応になった背面液晶。フォーカスポイントの指定(タッチAF)やタッチシャッターも設定可能ですが、特に再生画面で威力を発揮し、スマホライクな操作感でスムーズな画像確認が実現しました。

中々快適なのですが、画像サイズやSDカードの読み書き速度にも影響を受けそうな挙動が見られたので、状況により変わるかもしれません。

また、チルト対応になったことも利便性の向上に繋がっている事は疑い無いでしょう。コンパクトな筐体だからこそ出来るギリギリのローポジも無理なく楽しみやすくなります。

欲を言えば、もう少しばかり液晶が下を向いてほしいなと思いました。構造上の制限になのかもしれませんが、ハイポジでのブツ撮り等では「下向き液晶」の威力が際立ちます。テザー撮影やアプリ撮影に頼らず本体だけで完結出来れば、小型軽量な筐体を活かした撮影に幅が出そうな気がしました。

 

残念な点があるとすれば「解像度」。D500(236万画素)の半分以下、D7200(122.9万画素)の80%程となる「92.2万画素」。画素数以上に美麗なことは疑いないのですが、最新機の仕様にしては残念な部分です。

 

ネットワーク機能

Wi-Fi機能の進化は無いものの、Bluetoothの実装でスマホ連携がよりスムーズになりました。専用アプリの「SnapBridge」を使えば、撮影したJPEG画像をBluetooth接続中のカメラで自動受信することが出来ます。
受信する画像にはスマホのGPSから位置データを付帯出来ますので、ロケハンなどでも活用出来るかもしれません。一度カメラとスマホ(アプリ)をペアリングしてしまえば都度の設定無しに接続が可能な事も魅力です。

ただし、カメラやアプリにも接続時間の制限があるようで、制限時間をオーバーするとバックグラウンド(スマホの画面を暗くした状態や他のアプリを実行状態)での転送ができなくなりました。バックグラウンドでの転送をさせたい場合、半押しタイマーを長めにセットしてからアプリとの接続を確認(画像が受信することを確認)後、撮影に挑むほうが吉だと思われます。

とはいえ、この設定はカメラ、スマホ共に電池の消耗が激しくなります。画像の転送だけが目的なら、ある程度撮り溜めてからまとめて転送させる使い方を選びます。

 

バッテリー

D7200と共有のEN-EL15で、公称約950コマの撮影が可能との事ですので、予備バッテリー1個持っていれば余裕ありでしょう。

全機種比で85%の撮影可能コマ数となったのは、液晶のタッチパネル化やBluetooth実装のトレードオフ(かもしれない)と思っていれば、許容値なのかもしれません。

関連して、バッテリーグリップの装着が不可能になった事が各所で取り上げられていましたね。これもラインナップ整理の結果だと思いますが「このクラスにバッテリーグリップをつけるのはバランス悪くなるから慎重に」というのが私個人の考えなので、全く気になりませんでした。

また、バッテリーグリップの高さだけローポジに不利だと考えれば、チルト液晶の価値が2割増しくらいに感じられてお得です。

 

メモリ

SDカードが1枚。D7200がダブルスロットだったことを考えると、かなり思い切った仕様です。

メモリートラブルはいつ何時起きるかわからないものですから、仕事では必ずバックアップを意識しています。

普段、D810ではCFをメインにしつつSDにはバックアップ(または小さめのデータ)を取る体制が定番となっているため、仕事用のカメラがシングルスロットとなると心配性に拍車がかかってしまいます。また、(個人的に)SDカードは物理的に頼りなく感じてしまうので、この仕様変更には首をかしげた一人です。(カメラ側でトラブったらダブルもシングルも関係ありませんが・・)

このあたりは、自身の撮影スタイルやカメラの出動場面と照らし合わせて判断するのが最善かと思います。

また、最近カメラでは対応機種も多いUHS-IIには未対応です。世代的には対応させても良いはずなのですが、2000万画素程度では不要ということでしょうか。

 

解像感・画質・感度

画像処理エンジンが一世代更新、センサーも変わったことで常用域を高感度側に1段分、拡大しています。高感度耐性などの細かい比較は他の媒体にお任せしますが、必要にして十分な性能だと感じました。しょうもない作例で非常に恥ずかしいのですが、ほぼ現場設定での作例を紹介します。

D7200と本機種で物撮りの撮り比べを行いました。Nissin Di700AとGamiLightでのストロボ物撮りライティング。ごめんなさい、全く優劣がわかりませんでした。

【D7200】

 

【D7500】


[SS:1/250 絞り:f18 感度:ISO800 ポートレート AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR]

 

別撮影のロケハンも兼ねて、車で行ける離島へ。生まれて始めて星空撮りましたが難しいったら無いです。上手に撮れません。RAWで撮影、Lightroomで簡単に現像しました。


[SS:25秒 絞り:f5.0 感度:ISO3200 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED]

 

そのときに撮った月。高倍率のズームレンズで撮影。ズームレンズ便利。全然OKです。


【拡大】

[SS:1/100 絞り:f8.0 感度:ISO500 AF-S DX NIKKOR 18- 300mm f/3.5-6.3G ED VR]

 

スタジオライティング。JINBEI社の最新機種「HD-610」との相性もOKでした。

[SS:1/250 絞り:f4.5 感度:ISO100 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR JINBEI HD-610]

 

JINBEI MARS3を使ってロケーション、引きの画を1枚。自然光とストロボのミックスですがAWBの調子が良く、TTLやFP発光も問題なしです。

[SS:1/60 絞り:f6.3 感度:ISO1250 AF-S DX NIKKOR 18- 300mm f/3.5-6.3G ED VR JINBEI MARS-3]

 

まとめ

ターゲットが誰なのか、いまいち見えてこない機種というのが率直な感想でした。7000番台を付けて良いのかとか、どうしてもというなら7250くらいで良いんじゃないかとか。とにかく、Nikonの型番資源乱用は誰か止めたほうが良いと思います。

とは言っても7000クラスですから、メニュー構造がやや本格的になっていたり、タッチ&チルト液晶の採用など、大幅なハードウェアのアップデートもありました。携帯性を求めつつクラスを上げたいD5000クラスのユーザーにはオススメし易いかもしれません。

一方、D7200からの買い替えを検討される方は慎重に判断してほしいと思います。仕事で使うならD500をおすすめします。倍ほども変わらない金額で、出し惜しみなしのリトルフラッグシップが手に入るのが理由です。

たまに「プロならプロ機を使うべき!」とか「エントリーモデルで撮れる!撮れないやつはプロじゃない!」とかの議論も見かけますが、これはそんな「意見の押しつけ」でも「撮れる撮れない」の話でも「写真論」や「プロ論」でもないので、どうぞご安心の上ご参考いただけますと幸いです。

 

寄稿: 合同会社OMNIVAS 西平千尋

寄稿: 合同会社OMNIVAS 西平千尋

[ウェブサイト] http://omnivas.jp/

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